ヴァリエーションズIV / ジョン・ケージ(Variations IV/John Cage)

ヴァリエーションズIV/ジョン・ケージ(Variations IV/John Cage)

2011年1月29日に東京アサヒアートスクエアにて、現代音楽の金字塔と言われる、ジョン・ケージ(John Cage)の「ヴァリエーションズVII(Variations VII)」が、日本人アーティストによって「日本での初めての演奏」として行われたそうです※1

何十台ものラジオや電気製品などを用意して(日本公演では現代的な解釈でustreamなどパソコンも使用されたそうです)それぞれの機械から偶然流れてきた音楽やノイズを同時にスピーカーから放出。

チューニングを合わせたりボリュームを上げ下げする「即興演奏」によって生まれる音の洪水に加え、観客が発する音までも「音楽」としてリアルタイムで体験するというもの。


ジョン・ケージ自身によるオリジナルライブは、1966年10月15日、16日にニューヨークで披露され、映像として記録された初演の模様は、DVDによって体験することができます。

ヴァリエーションズVII/ジョンケージ(Variations VII/John Cage)

2台の長テーブルにびっしりおかれた機械群(ラジオ、テレビなどの電気製品)にはそれぞれマイクが付いており、真っ暗の中に浮かび上がった実験室で数名のメンバーが淡々と音を調合。増幅されたノイズ群にはただただ圧倒されます。


さて今回紹介するアルバムは、そのヴァリエーションズVIIの習作とも言える4作目「ヴァリエーションズIV(Variations IV)」。

1963年に作曲され、ジョン・ケージと彼の相方デイヴィッド・チューダー (David Tudor)によって1965年8月ロサンゼルス(Feigen/Palmer Gallery)にて行われたライヴパフォーマンスを記録したものです。

東洋の「易」やコインの裏表で音階を決める作曲法を提案し、ついには「何も演奏しない曲※2」にまで行き着いたジョン・ケージが次に導きだした作曲法が、西洋楽器で演奏を行わない偶然性の音楽。

透明なシートに「7つの点」「2つの円」を書き9枚に切り取ったものを、演奏場所の地図の上に重ね、スコア(楽譜)として使用。地図の上の直線と円、点などの位置や接触した部分などを、演奏者が音として解釈し、「ラジオ」などの電気製品が発する「音」で即興演奏を行うというもの。(ジャケットのイラストはスコアをイメージしたものでしょう)

左右からランダムに流れるラジオの音などの断片※3が、その場でコラージュされ、不思議な高揚感を生み出していきます。


ビートルズの「音楽の表現方法としてのジョン・ケージ」は意外にもポール・マッカートニーによって持ち込まれたことになっていますが※4、ジョン・レノンの場合はポールの影響というよりも、ジョン・ケージ・フォロワーであった小野洋子氏の影響が強いのでは。
音の偶然性というよりも、コラージュミュージックのサウンドの高揚感に「ロック」を感じたのではと思います。


※1 ジョン・ケージ「ヴァリエーションズ VII」
(ジョン・ケージ最大のライヴエレクトロニクス作品の日本初演)

演奏者: 足立智美、有馬純寿、池田拓実、毛利悠子
会場: アサヒ・アートスクエア(浅草)
日時: 2011年1月29日(土)19:00、1月30日(日)15:00


※2 「4’33″」1952年ジョン・ケージ作。4分33秒の間、演奏者は何もせず、その間にその場で鳴っている音を体感するというもの。初演は1952年8月にピアニスト、デイヴィッド・チューダーによるもの。オーケストラで演奏されることもあるようです。

余談ですが「4’33″」はitunesストアにてダウンロードできます。音のない曲をダウンロードというのもなんともな感じですが、曲の間はヘッドフォンを耳から外し、回りの音に耳を傾け楽しんでいます(うそ)。

※3 極端に歪んだ会話、ピアノ曲、オペラの断片、ザッピングノイズ、電話の呼び鈴、女性の悲鳴、中国風の音楽、チャイコフスキー組曲「くるみ割り人形」、ラヴェルの「ボレロ」、ヨハン・シュトラウス「こうもり序曲」、スパイク・ジョーンズ風の冗談音楽、レスバクスター風エキゾチックミュージック、グローリア、ハレルヤ、機械の連続音、教会の鐘、ベートーベン「第9」「運命」、バッハ「フーガ」、聖者の行進、タイプライターの音、爆発音、マイクを叩くような音など。

※4ポールは、当時の恋人ジェーン・アッシャーの兄、ピーター・アッシャー(ピーター&ゴードンのピーター)の紹介で前衛芸術家との親交がはじまり、ジョン・ケージの音楽に触れたと言われています。

ビートルズの曲では、特にジョン・レノンの曲「レボリューションNo.9(Revolution No.9)」や、「アイアムザウォーラス(I Am The Walrus)」のサウンドエフェクト、「ア・デイ・イン・ザ・ライフ(A Day In the Life)のオーケストレーションなどにジョン・ケージの影響を見ることができます。


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